パチ屋の怪談(笑)

...ってヴァ

時々このブログにも登場している『白い人』の話ですが
実際にこの目で見た事がなくて、聞いた話なんです。


「あのなぁ…俺、この間な、変な事があって…」
いきなり、そう言い出したものだから、こっちはちょっと身構えた。
借金の無心?それは駄目だ。俺にも金が無い(笑)
「そんなんとちゃうねん…あのな、俺…もしかしたら呪われてるかも」
なんだって!まぁ…心当たりもあるにはあるが、それにしても唐突だな。
「いきなり何やねん!怖いっちゅーねん!」
で、ここからが本題だ。↓



 彼『白い人』は、大のパチ好きだ。依存症と言っても良いくらいだ。
いやむしろ、依存症だろう、だぶん。それは、この際置いといて
彼が遭遇した、とても奇妙な現象に付いて、ここで述べたい。


彼はいつも通り、お気に入り(と言うか、もはや日常)のパチ屋へ行った。
その日は、ホルコンも彼に有利に働き、遠隔の甘味もあって
久々の快進撃を繰り広げていたと言う。
足元には、ドル箱の山…概ね7箱はあったと言う。
それなのに、どうしてだか気分が優れない…何だと言うのだろうか?
確立変動も終了し、時短も終わって、ちょっと一休みと席を立った。
それからトイレを済ませ、席に戻る。
ふと気になって、自分の出したドル箱の山を勘定した。
「1箱…5箱…6箱…って、あれ?」
明らかに1箱消滅している。まさかトイレに行った際に盗難されたのでは?
と彼は訝る。そこで呼び出しランプを付け、店の店員にその事を告げると
「あ、さっきいつも一緒に来られるお連れ様が、持って行ったみたいですよ」


お連れ様?待ってくれ…俺は今日、ひとりで来たんだ。その事を店員に告げると
「あれ?でも…いつも小さなおじさんと一緒ではありませんか」
店員は確信に満ちた瞳を輝かせて言った。


小さなおじさん?ま、まさか…以前K氏に聞いた
「ちっちゃいおっちゃんが・・・」ってヤツなのかっ!?


その店員は、彼はいつも一人ではなく、二人で…しかもとても小さな男性と
来店するのをモニター等で確認していると述べた。
無論その店にも、顔認証システムが完備されていて、来店時の認証は確実に
成されており、メインコンピューターにも登録されていると言った。


そこで彼は、俺は一人で来たし、そんな人は知らないと伝え、それから
「だったら、その画像と確認させてくれないか」と店員に告げた。
しばらく躊躇していた店員だったが、現実にドル箱は消えており、盗難の可能性も
否めないので、インカムでどこかに連絡した後、彼にこう伝えた。
「分かりました。ではこちらへどうぞ」
彼は味気の無い応接室へ通され、少し待った。しばらくして係りの者と言う人が
やって来て、ハードディスクに記録されている物をモニターで見せてくれた。


だが、そこには彼しか映っていない。
「あれ?おかしいなぁ…来店直後には映っていたのになぁ…」
その係りの者は、首をかしげた。
「だったら…だったら!その小さいおじさんって誰なんだよっ!」
白い人は、声を荒げて係りに人に食いついた。
「あ、もしかして…あの、申し難い事なんですが、あなたは…」
その後、その係りの者は、こう言った。
「あれ?あなたの後ろに居るじゃないですか…ちっちゃいおっちゃんが…」
俺は恐る恐る振り向いて見た。


そこには赤い髪の、ちっちゃいおっちゃんがニヤニヤ笑っていた。